神様がいない月

夕陽がもえつきた海
冬へいそぐ潮風
タメ息のなかに 立ちどまる
あなたとわたし

砂浜に並んでいる
さっきまでのあしあと
すべりこむ波が かげもなく
さらってゆくわ

たぶん ここで
サヨナラを言われるのね
胸の奥で
潮騒があばれる

神様はあてにならない
風向きさえ変えられない
めのまえの くちびるが
ピリオドの言葉 告げたの

ひきとめてもムダなのね
夢を追いかけるのね
となりにいたけど 違う星
みつめていたの

砂にうもれたパラソル
しずけさをみせつける
あんなにはしゃいだ
夏の日は
もう遠いのね

ごめん なんて
せつない瞳はやめて
握手なんて
今はできないから

幸せなんかにならないで
すぐに誰かみつけないで
夕暮れが さみしくて
悔やんだりしてね
あなたも

神様はあてにならない
ちっとも
たすけてくれない
泣き顔の 瞬間に
自分で背中を 向けたの

幸せなんかにならないで
わたしの涙とまるまで
春風に 出あう頃
思い出にするわ
あなたを……
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