ぬけがら

やせた煙草の 吸いがらを
朝の流しに 捨てにいく
命たたんで あのひとに
女まるごと あげたのが
たったひとつのたったひとつの 春だった

嘘を怖がる 男には
夢となみだが 子守り唄
愛をなくした 女には
癒す唄など ないけれど
せめて酔わせて せめて酔わせて ひぐれ酒

惚れてちぎれた この恋を
泣いてうらんで 何になる
買ってもらった 手鏡に
ばかと小さく 笑いかけ
ぜんぶ忘れて ぜんぶ忘れて 眠りたい
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