セピア

かじかんだ指先に そっと息を吐いて
すこし先を歩くあなたを見てた

銀杏並木がとても綺麗で
あの頃がよみがえる 無邪気に笑うふたり

「何気ないことが ずっとしあわせで…」

いつからか色褪せて セピアに変わった

秋がふたりを大人にしたの
つめたい横顔が他人みたいで
言葉をそっとしまった
もう戻れない季節 もう戻らない恋

楽しかった日々が 輝いて見えるのは
過去になってしまったの 物憂げに香る金木犀

すこし高い体温 包まれている時に
感じたやさしさ ほんとは不器用だったんだね

また出逢えたなら 素敵に笑えたらいいな
もう背伸びはしない 素直な私になるよ

秋がふたりを大人にしてくれたの
いままで本当にありがとう
ひとりでそう呟いた
もう戻れない季節 もう戻らない恋

もう戻らない、私

かじかんだ指先に そっと息をはいて
あなたのいない季節 はじめての冬がくる
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