雨音のボレロ

雨の音が ボレロのように
傘を叩くよ 歩道にひとり
心にまで 染み込んでくる
その旋律が とても虚しい

湿る瞼の先を
ヘッドライトが寂しく横切る

君という名前の
幸せを尊く思う
失くして初めて分かったんだ
頬をつたった しずくが 後悔に 溶けてく

水溜りに 映り込んだ
あの日の君の 背中は遠く
痛すぎるほど優しかった
頷くだけが 精いっぱいで

僕が言えないかわりに
さよならを切り出してくれたんだね

おどけて笑った
君の瞳(め)に映った僕は
自分勝手な男だったよね
隠せなかった 幼い 弱さを 許して もう一度

君という名前の
幸せを尊く思う
どれだけの雨粒に打たれたって
散ることのない 眩しい 僕だけの花なんだ

君のもとへ
愛を届けにいくから
例えどんな未来が待ってても
揺らぎはしない まっさらな 想いを 捧げよう
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