恋々虫

雨が結んだ 恋の糸
雨のふる夜は しくしく痛む
恋々虫々 なみだ虫
傘たたむ 音にだまされ
襟かき寄せりゃ
またも空似の 人ばかり

いまも独りと 聞いた夜は
私(うち)も独りと 聞かせてみたい
恋々虫々 恋の虫
夏痩せと 嘘をついては
ほろりと涙
ふられましたと 言えもせず

外は今夜も 雨なのか
くわえ煙草が しめって歪む
恋々虫々 みれん虫
貸す膝を 持っていながら
借り手がなくて
ひとり写真を 抱いて泣く
×