弥太郎仁義

親のある奴あ 外れておくれ
子持ち鴉(がらす)も どいてくれ
残った奴だけ ついてきな
などと弥太郎 あとふり向けば
十三(とさ)の湊(みなと)は 十三(とさ)の湊(みなと)は 砂ばかり

北へゆくほど 情けは濃(こ)い
寒い天気の 故(せい)なのさ
弱虫やひとりで 生きられぬ
軒先(こみせ)寄せ合う 津軽の村に
人の温かみの 人の温かみの 三昧が鳴る

わざと笠など 旅籠(はたご)に忘れ
宿場女の 気をひいて
お千代という娘(こ)を 知らないか
風の弥太郎 さがして歩く
遠いあの日の 遠いあの日の 越後獅子
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