桜、月華に舞う

そっと闇に響く 春を待ちわびる声に
ゆっくりと目覚めゆく めぐりめぐる季節の詩

水面照らした月影に 淡く浮かぶ桜花
微かほころぶ紅に 胸躍らせ手を伸べる

そよぐ風に思いを乗せて 遥か天に祈りを捧ぐ 東風は西へ駆け抜け

花びら舞い降りて 月華をまとい奏でる はらはらと麗しく 蕾が解ける
ひらめく花衣 諸行無常の煌き あふれ出す薄紅に 包み込まれ夢見月
儚く色付く この世界で踊れ

ふっと吐息漏れて 秘めた憂い彩って
しっとりと鮮やかに 衣の袖ひるがえす

今を限りと咲き誇る 夜を焦がす桜花
夢か現か曖昧に さざめく花酔いしれて

時を惜しむ声なき声に まぶた触れて別れを告げる 季節はまた うつろう

舞い散る花吹雪 月華に惑い揺らめく
ひらひらと艶やかに 現し世染めゆく
花風受け止めて 悲哀を隠しこぼれる 柔らかな薄紅に 涙けぶる烟月よ
咲いては散りゆく 逃れられぬ宿命

花びら舞い降りて 月華をまとい乱れる はらはらと麗しく 夢へと誘う
ひらめく花衣 短き命燃やして あふれ出す薄紅に 包み込まれ夢見月
儚く色付く この世界で踊れ
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