情炎

ずぶ濡れ着物を引き摺(ず)って
越えて行きます伊豆の山
たどりたどり着きたい
茨(いばら)に傷つき転げても
好きですわたし死ぬほどに
あなたの胸で躰(み)を燃やす

桜の花散る段葛(だんかずら)
春を映して燦燦(さんさん)と
想い出せば泣けます
寄り添い眠ったあの夜よ
あなたを偲び由比ヶ浜
波音だけがやるせない

忘れることなど出来ないわ
滲(にじ)むあなたのくちづけを
胸にそっと抱きしめ
枕を濡らして焦がれ泣く
好きですわたし死ぬほどに
あなたの胸で甘えたい
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