木立の中の日々

庭のすみであなたの植えたくちなしが
今年も花をつけた
あなたはまた優しく強く抱きしめる
けれどそれはあいさつのようなもの
見つめる私を
この幸せが不幸にする
恋はせつないから
恋を忘れただけ

冬の朝は夏の白さが懐かしく
逢えないままの友達
はずむ声がひびく受話器の向うから
遠く海の詩が聞こえてくる
ああ、木立の中を
歩く時だけ私になる
過去の駅に立てば
今は待つ人もいない
そして変わらないことは
あなたを愛している
×