瞽女の恋唄

吹雪の中を何処までも 何処までも 歩きました
仲間の背中につかまった かじかんだ指先が 命の綱
だけど 心の中で 春の唄をつぶやいて
明日も また明日も あったかい
灯りをもとめて 唄ってゆくんですよ

白い雪道 この目に見えぬ
見えぬ白さが 目に沁みて
破れ筒袖(つっぽ)で 掬(すく)う雪
いいえ見えます こころの目には
人の情けも あぁ… 人の情けも佐渡の灯(ひ)も

主は今ごろ ご無事でいてか…
二度と逢えぬが この身のさだめ

恋はご法度 旅芸人の
それに背いた 報いやら
仲間はずれの 雪礫(ゆきつぶて)
つらい恋路に 身籠る赤児(やや)と
海を覗いた あぁ… 海を覗いた親不知(おやしらず)

三味を合羽の 小脇に抱いて
氷柱三尺 軒先の
こごえ門付(かどづ)け こらえ撥(ばち)
しけた唄でも 春待ちごころ
越後瞽女唄(ごぜうた) あぁ… 越後瞽女唄(ごぜうた)流れ唄
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