荒井田メルの上昇

ゆるやかな道でバイクはクラッシュ
ゴーグルの娘がポンと飛んだ
けだるい午後のそれは3時半
目撃者はたった2人
僕と誰だか黒人

言葉の出ない僕の横で
黒人 携帯をポッケから「オーケー」

119を彼がコール
バイクの娘 身を起こす
サイレン待ちの奇妙な間
娘がゆらりと立ち上がった
『意識はあるか?』と僕が聞く
『自分がわかる?』と黒人聞く
『名前ヲ言エル?』と2人で聞く 「オーケー」

「あたしは名前を持たない
今しがた生まれ変わったから
さっきまでの名は荒井田メル
メルちゃん異なる次元に移った
あたしは名乗るなら
ザ フューチャー」

寝ていたほうがいいよ!
寝テイテ イナサイッテ!
コール レスキュー 119
サイレンが聞こえるまで どんくらい
サイレンが聞こえるまで どんくらい ああ

「ザ フューチャーはあなた方に告げる
無益な争いはやめなさい
国や宗教を捨てなさい
たまたま出会っただけでしょ?
憎しみは控えることです
愛されることはのぞまないで
執着が我らの苦しみ
根源

あなた方が伝えるのです
恋するパワーを信じなさい
それだけがほら未来を 生き抜ける根拠なんだよ
ザ フューチャー
メルの上昇
あの人が
好きよ」

『寝ていた方がいいよ!』
『誰カニ電話スル!?』
恋のレスキュー「あの人を」

「あなたが伝えなさい
荒井田メルはもういない
でも未来を生きてねって」

サイレンが聞こえるまで どんくらい
サイレンが聞こえるまで どんくらい
恋人迎えにくるまでdon't cry
恋人迎えにくるからdon't cry
メルちゃん
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