波止場という名の酒場

港に帰る 船よりも
ねぐらにもどる 海鳥か
男の夢の この止り木で
涙を酒で うすめたい
心の錨 下ろしたい
「波止場」という名の 北国酒場

北風そして 冬の町
火のよな酒が 欲しくなる
さすらい船に 灯台もなく
霧笛の音も 聞こえない
心にしみる ひとり酒
「波止場」という名の 旅路の酒場

流水とけりゃ 春なのに
鴎が一羽 なぜ消えた
上衣(うわぎ)の襟を 立てても寒い
一口飲んで 目をつぶりゃ
心に浮かぶ 泣きぼくろ
「波止場」という名の さいはて酒場
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