低気圧の夜

「出逢った頃の様に
私の事まだ好き?」
と彼女は訊く
通る声で

深夜ファミレス
僕らと店員
だけの宇宙に響き渡る

言えば良いかなぁ?
好きって
好きって
必要って
外は雨降り低気圧
口が重くて
鉛の様に
好きって
好きって
言えなくて
熱いスープで
火傷した振りで
話を濁して

「明日晴れるかな?」
窓の外映る
私の顔の方に
彼氏は訊く

「晴れるといいね」と
スパゲッティと一緒に
重い空気飲み込んで
応える

聞けないんだな
好きって
好きって
必要って
外は雨降り低気圧
頭痛くて
鉛の様に
好きって
好きって
聞きたくて
同じベッドで
眠るその時に
また訊ねて

響き渡って
好きって
好きって
虚しくて
外は雨降り低気圧
空気重くて
鉛の様に
好きって
好きって
虚しくて
二人の溝
埋める様に降る
雨音聞いて寝た
あの日思い出した
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