涯なき南海

護謨(ゴム)の林に つゞいた海よ
荒れて呉れるな 夜がふかい
昼の戦闘(いくさ)に 疲れた兵も
軍馬(うま)と添い寝の 仮枕
桜咲いたか 椿はまだか
思い出させる 祖国の空へ
あれよ 南の星が飛ぶ

遠い白波 翡翠の空に
月は上弦 うすあかり
永久に瞬く 十字の星が
こゝは南海(みなみ)の 涯と呼ぶ
明日の命は 知れぬとも
草を枕の高鼾
日本男児の 本領ぞ

眠るつわもの 万里を越えて
よくぞはるばる 来たことよ
夢は故郷の 妹か母か
明けりゃまた征く ジャングルか
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