リンゴアメ

気まぐれな恋でした 泡沫の夢
祭りの夜はこの夏も君と僕を繋ぎ合わせる

裸電球の明かりが縁日に灯りだして
闇に隠れし面影を不意に照らしてみせる
浴衣姿 頬に紅 左手にリンゴアメ
着慣れないと愚痴ってた横顔を思い出した

「今すぐに抱きしめて」悪戯に君は笑った
そんなことも出来ないことくらい分かってたくせに

気まぐれな恋でした 泡沫の夢
祭りの夜はこの夏も君の幻影を
過ぎ去りし昨日は綺麗に映って
巡る季節に戸惑う僕の心
甘く揺さぶる

君が胸に秘めていたほんの小さな嘘を
僕は許せなかったな
そして恋は終わった

大切な思い出も風化していくもの
時の中でその輪郭もぼやけてしまう

くちびるに重ねた愛しい気持ち
祭りの夜はこの夏も君の幻影を
人だかりを抜け出して静かな場所へ
そこで見えたあの花火
今もまだ覚えてますか

記憶の水面に浮かび上がる
ゆらりと月が空虚に満ちる
詠む言葉はありふれた憂いと苦悩
「君が幸せならいい」
そんな訳ないでしょう

気まぐれに絡めた細い指先も
今は他の誰かの手 触れているのですか

気まぐれな恋でした もう一度会いたい
祭りの夜はこの夏も君と僕を繋ぎ合わせる

夏は気まぐれに
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