18才の彼

18の彼は 生命(いのち)の真夏を生きてたわ
少年の肌と男の香が まぶしかった
恋におちたのは
終わりかけていた 夏のせい
気まぐれな心 つかむことだけを
夢見たの

18の彼は 愛の言葉さえ乾いてた
怒ったみたいに“あなたが欲しい”と
告げるだけ
夏草の褥(しとね)降りそそぐ日ざし 青い空
まぶたを閉じると バラ色のめまい
素敵だった

真夏の嵐によく似たひととき
去(さ)ったあと
言葉にならない さみしさに私
泣いていた
醒めたまなざしで ふり向かず夏へ
帰る彼
ひきとめることもしないで 私は
秋の中

髪の毛を直し いつもの私に
戻りましょう
忘れてただけよ
夏が終わったのを…
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