ニトロ

夏が静まって夜を残すだけ
歩くことをやめ、何故かぼーっとする

錆びついた彫刻が酸性雨に濡らされて
こっちを見ている顔がおれにそっくり
そろそろ闇がやってくる
昔から続くことに抗ったおれは確実に弱い

明けがたに残された飲みかけのアルコール
おれだけが知っている きみの真似をしている

蝉の抜け殻がおれに訴える

ざらついた肖像画
冷房の無いこの部屋にぎらぎらと光る感じをおれは知ってる
あんな狭い正方形にちょうど音色がきている
涙をこらえる必要なんて無い

明けがたに残された飲みかけのアルコール
おれだけが知っている きみの真似をしている

夏が静まって夜を残すだけ
歩くことをやめ 歩くことをはじめ
×