大洪水時代

東から もくもくと吹き出した積乱雲が 押し流されて
長い雨で 東京の街並みが海になった 六畳一間は船になった

窓の外 水平線が引かれ だれもかれもヒキコーモリです
あの娘 どこへやら 偽物の花を買って海に投げた
中央線がしぶきをあげた

旅に出ましょう 今こそ その時
全て捨て置いて
お別れの挨拶どころか まだ何も始まってもいやしないぜ

波が打ちよせて 何かの燃えかすが 窓にはりつく
過去も未来も 押し流されて
意味を失くした いつかの約束が流れついた

黒い邪魔な夜が来て 海も凪いでいる
波のうねりにあわせて 揺れる ランプの燈

黒いしぶきに足を浸して5つ教えて
やっと1人になれた 今、何かが 始まった?

後戻りできないさ どこまでも 海は続いて…
風がふいた…その時
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