狂った果実

夏の陽を 浴びて
潮風に揺れる 花々よ
草蔭に結び
熟れてゆく赤い実よ
夢は遠く 白い帆に乗せて
消えてゆく 消えてゆく
水のかなたに

人は誹(そし)るとも
海の香にむせぶ この想い
今日の日もまた
帰り来ぬ 夏の夢
熱きこころ 燃え上がる胸に
狂いつゝ 熟れてゆく
太陽の実よ

潮の香も 匂う
岩かげに交す くち吻(づけ)も
その束の間に
消えゆくと知りながら
せめて今宵 偽りの恋に
燃え上がり 散ってゆく
赤い花の実
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