劇唱 天保水滸伝

利根は日暮れる 薄(すすき)は眠る
闇のしじまが 訪れる
それじゃあんまり つれなかろうと
眉のかたちの 月が出る
女房泣かせの 女房泣かせの 三度笠
ご存知 天保水滸伝

「なんで侠(おとこ)は ぶつかりたがる
意地と意地との 鉢合わせ
露に身の錆(さび)濡らす夜 侘しいねえ」

昔 懐かし 侍 捨てた
詫びる おのれの 成れの果て
友のためなら 笑って死ねる
どうせ この世の 流れ星
一つぐらいは 一つぐらいは 善いことを
ご存知 天保水滸伝

「相撲甚句(すもうじんく)が はらわた抉(えぐ)る
けりがつかない 勝負石(しょうぶいし)
恋も命も 風まかせ 切ないねえ」

人は争う 悲しいけれど
利根(みず)の流れが 尽きるとも
女 惚れたら 生き死に一緒
義理も人情も 懐に
こころ安らぐ こころ安らぐ 世にしたい
ご存知 天保水滸伝
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