夕暮れ商店街

鎖の 先っぽで 飼い犬は
野良犬の 足取りを 見ている
秋の 夕暮れ時
茜に 染まった 後ろ姿が
小さく 見えなく なってゆく

青バケツ からっぽで 野良犬は
飼い犬の アルミ皿 思い出す
秋の 夕暮れ時
灯 点して 商店街は
自転車 呼び声 書き入れ時

靴音に 耳を立て 飼い犬は
少年の 帰りを 待っている
秋の 夕暮れ時
通りを 抜けたら 川沿いの道まで
グローブ 口笛 散歩の時間

暖簾が 揚がる頃 野良犬は
いつもの 店前で 座っている
秋の 夕暮れ時
女将の 手のひら 白粉の匂い
客より お先に 「今夜のオススメ」
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