なかせ船

しばし別れの 淋しさ辛さ
鳴いてくれるな かもめ鳥
出船のドラが 心をせかす
名残り惜しいは どちらも同じ
汽笛が身に沁む なかせ船

なまじ一日 伸ばしてみても
未練ごころが ままならぬ
潮路ははるか 入江はかすむ
またの逢う日を 波間に書けば
波さえわびしい なかせ船

月よ照らすな 男の心
募る思いの やるせなさ
しぶきを浴びて 灯影もぬれる
暗いデッキで まぶたを閉じりゃ
夜風が冷たい なかせ船
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