旅姿三人男

「野郎ッ。小せえと思ってナメやがって。
でっけえとこのあるのを知らねえな。束(たば)んなってかかって来いッ」

清水港の 名物は
お茶の香りと 男伊達
見たか聞いたか あの啖呵
粋な小政の 粋な小政の 旅姿

「小政が一番か。仕様がねえや、あいつァ手が早えからな。
でもまだ諦めないよ俺は、二番があるんだから」

富士の高嶺の 白雪が
とけて流れる 真清水(ましみず)で
男みがいた 勇み肌
なんで大政 なんで大政 国を売る

「アア、二番は大政か。これも仕様がねえな。あいつ槍を使うんだよ槍を。
俺はどうなってんだい。何?今度は俺だって。待ってました」

腕と度胸じゃ 負けないが
人情からめば ついほろり
見えぬ片眼に出る涙
森の石松 森の石松 良い男

「でも石松は馬鹿だって?がっかりさせやがんなァ」
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