赤いクーペ

火の山の広がる裾野
ゆるやかにほどける道を
モーツアルトが歌ってくれる
どこまでも走ってゆきたい
サンルーフを開けて君だけをのせて
この時代が終わるまで

雲うつすバックミラーに
一瞬に飛び去る時を
モーツアルトがよみがえらせる
いつまでも走ってゆきたい
地図は破り捨てて君だけをのせて
この世界が終わるまで

透き通るフロントグラス
その先を誰も知らない
モーツアルトもいつかとだえて
ひたすらに走ってゆくだけ
ほほえみに疲れた君だけをのせて
このいのちが終わるまで

止まれないもう止まれない赤いクーペ
悲しみは走りつづける
幸せを連れて
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