飛火野ひとり

馬酔木(あせび)の花を 散らした風が
野づらをわたり 頬濡らす
飛火野の 青い絨毯
踏めば足下(した)から 恋しさつのる
どこをどっちへ 歩いたら
面影消せるの 大和路よ

つかんだ愛も 手入れをしなきゃ
来るのねいつか 綻(ほころ)びが
飛火野に ひとり佇み
知った心の 我がまま勝手
別れ涙の 棄て場所は
見つかるでしょうか 春日山

昨日に戻る 道はないのに
後振り向けば 鹿の群れ
飛火野を 染める夕暮れ
未練残した この身に沁みる
遠く聞こえる 鐘の音
教えてわたしの 生きる道
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