神の月

濡れた月が したたりて そそのかす

白い 壁に揺れるのは
黒い 哀しみの影絵です
どうして 抱かれるのは
いつも かなしい

濡れた月が くるおしく 欠けてゆく

闇を つかむ指先が
赤い 曼珠沙華になります
ぽきりと 手折られたら
きっと しあわせ

濡れた月が せつなさを あぶりだす

何も 欲しくないですと
いつも 嘘をついてきました
あなたの 胸の奥の
痛み ください

濡れた月が したたりて そそのかす

そう…神の留守 ねえ 今
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