学校へ行きたい

きのう テレビの ニュースで
どこかの国の 難民キャンプを 見た
救援物資に 並ぶ 子供たちが
カメラを まっすぐ 見つめていた

「今 何がしたい」 と聞かれて
最初は みんな 黙っていたけど
一人の子が 何か言うと
それぞれ 希望を 話し始めた

そして あの子が 言った

学校へ行きたい 学校へ行きたい
学校へ 学校へ行きたい
わたしの 心に さざ波が立った

周りには 幼い 兄弟たち
お母さんは? ひどい けがしてる
お父さんは? まだ でも すぐ帰る
だから それまで がんばらなくちゃ

「学校へ行って 何したい」
一生懸命 勉強をして
お医者さんとか 看護士さんになって
お母さんや みんなを 助ける

それに みんなと 遊びたい

学校へ行きたい 学校へ行きたい
学校へ 学校へ行きたい
わたしと おんなじ 10歳の子だった

その夜 わたしは 夢を見た
わたしが 魚で 学校は 海
つり上げられた わたしが 叫んでる
言葉に ならない 魚の声で

そう言えば そんな ことを
クラスで ずっと 休んでる子も
戦争の 語り部の おばあさんも
おんなじ 気持ちで 話してた

あのときは わからなかった けど

学校へ行きたい 学校へ行きたい
学校へ 学校へ行きたい
目覚めた 瞬間 わたしも思った
×