熱海

君は蜜柑の皮をむき 丸ごと一つ俺に手渡した
窓の外は山と 空汽車は走る 体震わせて
車内アナウンス そろそろ着く頃か
バッグを肩にかけて 君が立ち上がる

全部何もかも忘れよう やり直せるさ
誰も俺たちを 知らないこの街なら
全部何もかも忘れよう 俺がついてる
何よりも温泉がある

君は海へ行こうと言う いいね 俺もそのつもりだぜ
10分くらい歩いたら 波の音と潮の香りが
沈んでゆく陽は 俺らを赤く染め
バッグを海に投げて 君がしゃがみこむ

全部何もかも忘れよう 波に流そう
好きなだけ泣きなよ 俺はここにいるさ
この世で一番美しい 君が死ぬなんて
断じて間違ってる

そうさ何もかも忘れよう やり直せるさ
誰も俺たちを 知らないこの街なら
全部何もかも忘れよう 俺がついてる
何よりも温泉がある 湯あたりには気をつけろ
俺の愛にはのぼせろよ
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