雨のあと

ひと雨過ぎたあとの
街の匂いが好きよ
恋へと駆け出してた
夕方が薫るから

あの頃笑いながら
いつも寂しかったのよ
あなたは夢を追って
うわの空だったから

背伸びして重ねた季節の忘れもの
今はもうこの手にすくえはしないけど

見慣れた駅の前で
傘を持て余して
あなたを待てる今日が
愛おしい雨のあと

言葉が過ぎたあとの
黙る瞳が好きよ
昔の私ならば
ぽろぽろと泣く場面

あの頃ぶつけ合った
小さな愛の種は
揺るがぬ時を超えて
穏やかな木になった

許しあい重ねた二人のたからもの
それはもう約束のいらない帰り道

早足で追いかけて
手を繋がなくても
あなたがわかる今日が
誇らしい雨のあと

背伸びして重ねた季節の忘れもの
今はもうこの手にすくえはしないけど

ひと雨過ぎたあとの
街の匂いが好きよ
帰れぬやるせなさに
守るもの見えるから
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