長雨

洋服は
いくつもあるのに
今日着る服がない
地下鉄の
おんなじ車両に
乗る彼が 気になる

それはいつか去ったひとに
頬のあたり似ている
オフィスでは 同僚が
無口を叱る

守りたい愛がなくて
頼りなく生きている
長雨が 靴の先を
しめらせてる 不確かなトラジティ
うつむいてばかり

ものごとが
動かないわけは
たぶん自分にある
コピーとる
手をとめて思う
それは知っていたこと

安い花を少し買って
今日は早く帰ろう
付き合いで さみしさを
だませはしない

かなえたい夢がなくて
おだやかに病んでいる
長雨が 深い場所で
降りやまない たましいのトラジティ
もがいてみましょう

守りたい愛がなくて
でもちゃんと生きてたい
長雨が明日はやむと
テレビが言う 真夜中のリアリティ
信じてみましょう

忘れたいキスだけじゃなくて
青空をみつけたい
雨音がひびきすぎた
心の部屋 不確かなトラジティ
陽は射すでしょうか
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