玉手箱

そうね あなたにだって
若くて 輝いた頃があった
愛されたいと 深く思うたび
きれいになったものね

結婚して 子供が
生まれてからは ただ忙しくて
自分のことは いつも
気づけば 後回しになったものね

時を削って 愛をそそいで
帰りを待って 早起きをして
愛しさや 悲しさ
胸に閉じ込めてきたでしょう

その心の玉手箱を
もう 開けてもいいのよ
詰めこんだ 愛情のぶんだけ
今度は 自分を愛してあげなさい

ゆっくりふたを開けて
あなたのしあわせや 孤独たちを
今なら 笑いながら
大事に ひとつひとつ 思い出して

並んで星を数えたことも
口もきかずに 過ごした夜も
ありがとう ひと言
リボン結んであげましょう

その心の玉手箱の
一番奥 眠ってる
あの日 あなたの指を
握った 小さな手のひら
憶えているでしょう

悔やみきれない事もあるでしょう
それでいいのよ だって あなたの
人生は 記憶と希望でできてる 宝物

その心の玉手箱を
もう 開けてもいいのよ
詰めこんだ 愛情のぶんだけ
今度は 自分を愛してあげなさい
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