月の嫁入り舟

舟がゆくゆく 嫁入り舟が
祭り囃子の その中を
おさななじみが 思いをこめて
打てば太鼓も
月の流れを 泣いて行く

木の実ふるふる 社(やしろ)のかげで
きいた子守の 唄のかず
ばちの重さを 悲しくこらえ
打てば太鼓に
浮ぶあの日の 風ぐるま

舟がゆくゆく 嫁入り舟が
つらい伏目の 人のせて
月に涙を さらしたままで
打てば太鼓は
川面(かわも)三里を 流れゆく
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