ひまわり

ひまわりが咲いているだけの 小さな駅から
汽車がゆく ああ
窓の日除けも降ろさずに
あのひとは私を 見つめてた
約束のひとつ ある訳じゃなし
さりとて忘れる 意地もなし
こんな夏の陽ざかりに
ひるむことなく空を仰ぐ
ひまわりの一途さが
なぜか今は憎らしい

つかのまの帰省客たち 戻ればさみしい
もとの町 ああ
口数へった娘には
語れない想いが つのるだけ
いっそ雨でも 降らせておくれ
心もからだも 洗うほど
人も避ける陽ざかりに
背すじのばして天を仰ぐ
ひまわりの一途さが
なぜか今は憎らしい

こんな夏の陽ざかりに
ひるむことなく空を仰ぐ
ひまわりの一途さが
なぜか今は憎らしい
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