すずらん通り

すずらん通りを 通り抜け
灯りの途絶えた 一角に
ひとつぼんやり 居酒屋の
赤提灯 揺れている
言葉少なに 男たちが
憂さ晴らしに 飲む酒 愛し
あゝ あゝ あの人の
寂しい背中を 思い出す

群れに馴染まぬ 者どうし
目と目を合わせた それだけで
心通わす 夜もある
身体通わす 夜もある
情に絆(ほだ)され 女たちが
嘘を承知で 飲む酒 哀し
あゝ あゝ あの人は
今頃どうして いるだろか

理屈で割れぬ 男と女
差しつ差されつ 飲む酒 可笑(おかし)
あゝ あゝ あの人が
そっと肩を叩く 気がする

あゝ あゝ あの人の
寂しい背中を 思い出す
今頃どうして いるだろか
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