
―― アルバムのラストを飾る「スターサイン」は、メンバー4人で制作されたんですね。
Aメロ、Bメロ、サビ、誰がどこを作るかをじゃんけんで決めました(笑)。それで私が勝ったので、「サビを書きたい」と言って、最初に歌詞を書いて。そのサビが指針になって、「石野がこう書くんだったら」と手紙をラリーしていくかのように作っていきましたね。Aoooを結成して2年ほど経ったタイミングなので、活動やメンバーとの関係性を振り返るような内容になりました。
―― <はじまりの喜び 今でも信じている 同じひかり見ているから 少しだけ前を向ける>というフレーズから、4人にとって初心や、Aoooを組んだこと自体が、とても大きなものだったのだろうなと思いました。
そうなんです。思ったよりずっと、Aoooという存在は自分たちの心のなかで大きく育っていて。まさに、組んだときの喜びや初期衝動、ワクワクする感覚を、それぞれが今も大切にしているのだと感じます。おっしゃっていただいたフレーズは私が書いたのですが、「私はこう思っているよ」という気持ちで書きましたね。でも、私がいちばん最初に歌詞を書いたので、すごく恥ずかしかったです(笑)。
―― 曲が完成してみて、いかがでしたか?
みんながAoooのどういうところを愛おしく思っているのかがわかって、嬉しかったです。みんなの気持ちを言葉で知ることって、なかなかないから。意図せず、お互いの気持ちを確かめられた喜びはありましたね。
―― 理子さんが、今作のなかでとくに「書けてよかった」と思うフレーズを教えてください。
「ユメユキ」の2番Aメロ、<合言葉呼んで 確かめたら 飽きずに繰り返して 不思議と繋がっていくテレパシー>ですね。歌詞に行き詰まっていたとき、去年公開された韓国映画『君と私』をふと思い出して。すごく好きな作品だったのですが、あの映画に描かれているふたりの関係性が、この曲に合うかもしれないと思って。あるワンシーンを私なりに言語化してみたのが、この4行なんです。個人的に愛おしく感じるフレーズです。
あと、<物語の終点には 着けないまま 消えちゃうの>というフレーズも、「ユメユキ」のサビのまとまり方として、納得のいくものが書けたなと思います。この曲はAoooとしても新しいものが書けた手ごたえがあって、とくに愛着があります。まだライブでは一度もやったことがないので、未知数ではあるのですが、歌うのが楽しみですね。
―― ご自身の描く主人公には、何か共通する特徴や性質はあると思いますか?
私に似ていると思います。あまり自分から遠いものを書けない、書かないので。だから、“ひとりで抱え込んでいるわけではないけれど、ひとりで黙々と考えを巡らせている”というひとが多い気がします。今作だと「Portrait」や「Geeek」はとくに自分に近いですね。未熟ながらも自立しようとしているところも、ひとつの特徴かもしれません。
―― たとえば、「Geeek」の<今はぐれで放電中>というフレーズひとつからも、理子さんらしさを感じます。
そう、<はぐれで>なんですよね。それぞれが自分の場所で光っていて、エネルギーを放出していたら、カッコいいなという思いがあって。
私は多分、これまで生きてきたなかで、気持ち的にマイノリティ側になることが多かったんです。同調圧力に疲れたり、多数派に合わせてみても結局は無理で、ひとりでいることを選んだり。そういう自分のスタンスが滲み出ることがありますね。
だからこそ、「クエスチョン」のような歌詞を書けるすりぃの存在は、自分にとって大きいです。曲を通じて、「もっとこっちに来いよ。仲間でいるのも楽しいんだよ」と言ってくれているような気がしますね。
―― 理子さんは、歌詞を書くときに何をいちばん大切にしますか?
自分なりに、「絶対にこの言葉でしか表現できない」というところまで突き詰めるようにしています。たとえありきたりな表現だったとしても、それが自分のなかでいちばんしっくりくるなら採用します。意味だけではなく、音のハマり方も含めて、その言葉が持つ美しさをどう引き立てられるかは常に考えていますね。
―― これから挑戦してみたい歌詞はありますか?
自分から遠いものを書けるようになりたいですね。歌詞って、もちろんひとりよがりでもいいとは思うんですけど、ひとの気持ちを代弁するものでもあるじゃないですか。だから、自分のなかにない感情も書いてみたいです。それこそ、“他者とわかち合える喜び”などは、1曲分の歌詞になるほどの資料がまだ私のなかにはなくて。日々、そういう思いの欠片を集めたり、空想を巡らせたりしながら、生きていきたいですね。
―― ありがとうございました。最後に、理子さんにとって歌詞とはどんな存在ですか?
自分の感情や思考を整理するための手段だと思います。日常生活のなかで思ったことや、触れたもの、感じたことをメモに残しておくことが多いんですけど、自分にとって歌詞は、そういうものをちゃんと整理して、記録として残しておけるものなんですよね。
あと、メンバーが書いた歌詞を読んでいても、「このひとにはこういう引き出しがあるんだ」とか、「こんな発見があるんだ」とか、気づかされることがあって。そういうところも含めて、歌詞っておもしろいなと思います。
