たまに本当に怖くなります。自分のなかにいろんな人格がありすぎて。

―― レイさんは主人公を描くときに、具体的な人物像をイメージしますか?

そうですね、その楽曲の主人公の性格や環境でだいぶキャラクターは変わっていくと思うので、そこは大事な要素になっていると思います。曲によって、すごく甘えん坊なわがままな自分がいたり。ときには、控えめであまりうまく気持ちを表現できなくてもどかしいキャラクター像であることもあります。

結果的にどれも自分のなかに存在している感情なので、全て自分とリンクしているんですけどね。たまに本当に怖くなります。自分のなかにいろんな人格がありすぎて。どれが本当の私なのだろう?私はおかしいのか?と。でもきっと、誰にでもいろんな感情があって、いろんな波があって、自分でうまくコントロールできないときもあれば、マジシャンのようにうまく操作するときもあって。なので、そんな人間くさい部分をこれからも描いていきたいです。

―― 歌詞を書くとき、どこからインスピレーションを得ることが多いですか?

映画を観終わった後に書きたくなることもあれば、友達の悩みを聞いたり、恋バナをしたりして書きたくなることもありますが、やっぱり実体験が多いかなと思います。全てがまるまる実体験でなくても、それをベースに飾り付けをしたり、そういうふうにいつも書いています。きっと痛みとか喜びとかって、リアルであればあるほど聴いてくれる人に届くのかなって思うんですよね。なので、これからもそのスタンスは変えずに作っていきたいと思いますし、どんどん人生で苦しいことを経験していきたいし、だからこそ書ける曲があると思っているし、カモン!って感じです。

―― 歌詞面で影響を受けたアーティストはいますか?

“BONNIE PINK”さんが書く歌詞がすごく好きです。絵本を見ているような色鮮やかさと、程よいファニーさと、こんな言葉を歌詞に使うんだ!という面白い発見がいつもありますね。以前、彼女のライブに行ったときにMCで話していた言葉が印象に残っているんですけど「私はストーリーテラーだから、結婚をしたって片思いの曲を書くし、別れの歌だって歌えるのよ」と言っていたんです。そこで、そっか、音楽にルールなんて何一つなくて、自由で楽しくて面白いんだ!って改めて気づくことができました。

―― 最近、歌詞が良いなと思ったアーティストや楽曲を教えてください。

少し前の楽曲なんですけど“showmore”さんの「27」という曲の歌詞がすごく生々しくて好きです。ボーカルの根津さんが書く歌詞はいつもどこか痛みがあって、リアリティーがあって、好きです。絵が浮かんでくるんですよね。この曲では、過去に好きだった人を忘れられなくて、どうにかこの気持ちをまぎらわそうと葛藤している女性が主人公なのですが、痛みがあるのになんでこんなにもそれを美しく表現できるのかなって。根津さんだからこそできることなのかなって思います。

―― 歌詞でとくに好きな言葉、作詞の際によく使う言葉はありますか? 反対に、意識して使わないようにしている言葉はありますか?

最近気づいたのですが、色関連の言葉を使うことが多いです。私は自分でも怖くなるくらい、自分の中にいろんな人格というか感情があって、それを表現するのによく色を使っています。なので、自分で作詞した楽曲には結構な確率で色が登場している気がします(笑)。

また、とくに「これを使いたくない」という言葉はないですね。でも意識している部分でいうと、その楽曲のなかで光の部分だけとか、闇の部分だけとかにクローズアップするのではなくて、どちらも表現して、コントラストを出すことはすごく大切にしています。

―― レイさんにとって歌詞とはどんな存在のものですか?

私の裸です(笑)。これは昔からプロデューサーの玉井さんに言われていることなんですけど、「歌詞を書くということはすごく恥ずかしいことなんだよ。人に言えないこと、人に見られたらどうしようと思っていることを書くのが歌詞なんだよ」と。そんなことをデビューした20歳の頃から言われてきました。最近になってやっと、その言葉の本質がわかってきた気がします。なので、これからももっともっと自分のなかのメラメラ燃えている部分だったり、隠れて隠れてなかなか顔を出してくれない感情だったり、自分を分析しながらいろんなものを見つけていきたいです。そしてそんなリアルな感情が誰かと重なって、またいろんな形で曲が羽ばたいていってくれたら嬉しいです。

―― 歌詞を書くときにいちばん大切にしていることは何ですか?

やっぱり実体験をベースにすることだと思います。納得いかないこととか、信じたくないことも人生ありますが、歌詞を書いていると、あのときのあの経験は結果的にこの曲の歌詞になったことだし、意味があったなって思えるので、私にとってこの音楽活動は本当になくてはならない存在になっています。

―― 今後、新たに挑戦してみたい歌詞というと?

きっと安田レイのイメージってハッピーでポップなものだと思うのですが、その真逆の楽曲にもどんどんチャレンジしていきたいんです。今年リリースしたアルバムではまさにそんなギャップのある楽曲(「赤信号」)にも挑戦したのですが、それがものすごく楽しくて、開放的で、もっともっとこういう自分を表現していきたいなって思ったんですよね。なので、皆さん楽しみにしていてください!

―― 最後に、レイさんのこれからの夢、目標を教えてください。

とにかく歌を続けたいです。私はいつも三日坊主で、何を始めても長続きしないんですが、歌だけは小さい頃からずっとずっと大好きで、ずっとずっと歌ってきました。なので、とにかく歌を続けること。歌を通していろんな人と、場所と、繋がれるこの日々が本当に幸せなので、これをただただ続けていきたいです。

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安田レイ
14th SINGLE 『through the dark』
2020年5月27日発売
SME Records
初回生産限定盤
SECL-2575~76 ¥1,636(税抜)

通常盤
SECL-2577 ¥1,091(税抜)

期間生産限定盤
SECL-2578~79 ¥1,364(税抜)

収録内容

<収録曲>
[初回・通常盤]
03. through the dark -Instrumental-
04. true colors -Instrumental-

[期間生産限定盤]
02. through the dark -アニメサイズ-
03. through the dark -Instrumental-

直筆色紙プレゼント

毎回、インタビューをするアーティストの方に書いてもらっているサイン色紙。今回、安田レイさんの好意で、歌ネットから1名の方に直筆のサイン色紙をプレゼント致します。
※プレゼントの応募受付は、終了致しました。たくさんのご応募ありがとうございました!
安田レイ

1993年4月15日、アメリカ・ノースカロライナ州生まれ。3歳で日本ヘ。10歳の頃、母親が聴いていた宇多田ヒカルに衝撃を受けてシンガーを志す。13歳で音楽ユニット“元気ロケッツ”に参加。20歳を迎えた2013年『自身の歌声をもっともっとたくさんの人々の心に直接届けたい』という強い想いを胸に、同年7月シングル「Best of My Love」にてソロシンガーとしてデビュー。

その後も、ドラマやアニメ主題歌、CMタイアップ曲など、 話題の楽曲を次々とリリース。2015年11月にリリースした「あしたいろ」は、TBS系ドラマ『結婚式の前日に』主題歌として共感を呼び、その年の活躍が認められ『第57回輝く!日本レコード大賞』新人賞を受賞。配信シーンでの活躍が顕著で、これまでにリリースした1stAL『Will』2ndAL『PRISM』がともにiTunesにてJ-POP1位、総合2位を獲得。ファッション分野、ラジオDJとしての活動も行い、さらなる活躍が期待されている。