―― 雄大さんが、人生で最初に音楽に心を動かされた記憶というと、何が浮かびますか?
子どもの頃から、ゆずが好きで聴いていて。中学1年生のときには、自分も「夏色」を弾いてみたくてアコギを持ち始めました。さらに同時期、友だちがONE OK ROCKのデビュー曲「内秘心書」のライブ映像を見せてくれたんですよ。それが衝撃的で。学校帰りの横断歩道の信号待ちで見ていたんですけど、あまりにカッコよくて3回くらい青信号を見送りました(笑)。それがバンドというものに感動した最初のタイミングでしたね。
―― いつ頃から、「表現する側になりたい」と思うようになっていくのでしょうか。
中学時代は、とくに夢もなくて、ただ好きでギターを弾いていた感じだったんです。だから、高校1年生の頃からかな。基本、目立ちたがり屋でちやほやされたいタイプの人間なんです。最初はその延長線にバンドもあった気がします。とくに当時、カラオケに2~3日に1回は行っていて。いろんな友だちが、「歌うまいね」って言ってくれるわけです。それが嬉しくて、まんまとその気になったところもあります。
―― いちばん最初に書いた歌詞は覚えていますか?
どんな歌詞やったっけなぁ。16歳のときに、初めて歌詞というものを書きました。そのときにはもう「音楽で成功したい」という夢を抱いていたので、とにかくオリジナル曲を作らなければならないと。でも、それまでとくに言葉を綴るようなことはしてきませんでしたし、到底世に出せるレベルの内容ではなかった気がします。いち少年が頑張って書いてみた歌詞、という感じです。そして、17歳でNovelbrightを結成したんですよね。
―― バンド結成から今に至るまでのご自身のマインドを、グラフにするとどんな形になると思いますか?
ずーっといちばんピークのところ、横一直線です。
―― そのタイプの方はこれまでなかなかいらっしゃいませんでした。気持ちが落ちることは一度もありませんでしたか?
音楽面のマインドが落ちることはありませんでしたね。もちろん私生活での自分の感情の浮き沈みはありますけれど、志だけは高くあり続けています。ハングリー精神がなくなったことがない。僕、本当に負けず嫌いで。田舎者の少年が、目立ちたがりの負けず嫌いでここまで来たようなところがあるんです(笑)。自分が一度、飛び込んだ世界では負けたくない。死ぬまで、できることを頑張っていきたいなと思っていますね。
―― 歌詞面で“Novelbright”らしさが確立してきたと実感されたタイミングはありますか?
メジャーデビューしてから1年くらい経った頃ですね。インディーズ時代の楽曲は、俯瞰して見たときにやっぱり青臭いんですよ。もちろん昔より今のほうが経験もある分、いい歌詞を書けるに決まっていますし。とはいえ、10代の自分の素直な気持ちも、それはそれでもう書けないものだから、価値があるとは思いますけれど。ここ4~5年で、自分らしい型ができて、納得のいく表現ができるようになっていると感じます。
―― とくに書いていて手ごたえがあった楽曲というと?
やっぱり「ツキミソウ」かな。まず、サビのメロディーが浮かんだ段階で、「いいものが来たな」という感覚があって。さらに、歌詞でいちばん気に入っているフレーズがDメロの<鼓膜が破れたっていいよ 結んだ髪をほどいて 悲しみから解き放つために叫んだ 優しくなれる心が欲しいよ>というフレーズで。これが書けたとき、「今までの自分にはなかった表現ができたな」と思いました。
―― では、改めて今、“Novelbrightらしい歌詞”とは、どんなものだと思いますか?
僕が書いていて最も楽しいテーマは、自己啓発系というか、“自己肯定”なんですよ。ラブソングも好きだけれど、自分自身があまり恋愛体質じゃないから、毎回ひねり出すように書いていて(笑)。前向きになれる歌詞が、このバンドらしいなと思います。今作でいうと「Caravan」はとくに、自分の心から湧き出る感情がそのまま歌になった感覚です。回りくどくなくシンプルで、グッと感情を入れられる。そういう歌詞が好きですね。
―― 「Caravan」は、まさに<私だけを愛してあげてね>という“自己肯定”が描かれていますが、一方で<交代でハンドル握って>、<I want your smile>、<今日くらいは一緒に泣こう>と、“ひとりではない”ことも印象的です。
ああ、たしかに。ひとりが好きなひとも多いだろうけれど、僕は基本的には、ずっと誰かと一緒にいるんですよ。ご飯を食べるときも、元気なときも、落ち込んでいるときも。だから正直、気持ちが沈んだときにひとりきりで何かを解決したことがなくて。自分がマイナスからプラスに転じるときは、必ず大切なひとがそばにいてくれた。寂しがり屋で、いつもまわりのひとに救われてきた人生なんです。
だからこそ、聴いてくれるひとが孤独を感じるとき、自分の歌が“大切なひと”のようにそばにいられたら、と思うんですよね。人間は、支え合うからこそ、生きていける。僕自身、ひととひとの繋がりを大切にしているし、信じている。だから、自然と歌詞も“ひとり”ではなくて、仲間や大切なひとが登場するような表現になっていくのかもしれません。
―― また、今作では「かんざし」と「IF」の歌詞を、メンバーの山田海斗(Gt.)さんが手がけています。ご自身の歌詞とはどのような違いがあると感じますか?
まったく違うように感じますね。僕と海斗くん、性格もバックボーンも、生まれ育ってきた環境もかなり異なりますから。極端に言えば、陰と陽。海斗くんの書く歌詞は陰寄り。僕の歌詞は陽寄りのものが多い気がします。あと、海斗くんは描く世界観が独特ですよね。僕には絶対に出てこないボキャブラリーだなと。
―― 歌っていて、とくに刺さったフレーズはありますか?
「かんざし」なんかはすべてですけど、<華やいだ街を出て他所(よそ)へ帰るわたしをどうか許して>というフレーズは、歌いながら「なんちゅう歌詞や!」と思いました。なかなか現代のひと、使わない言葉じゃないですか。奥ゆかしさを感じるというか、日本の美が見えてくるというか。海斗くんならではの1曲ですね。