―― 人生で音楽に最初に心を動かされた記憶というと、どんなものが浮かびますか?
親戚の前で歌を歌ったらとても喜んでもらえたことでしょうか。
―― 子どもの頃、歌詞やポエムのようなものは書いていましたか?
まったく書いたことがありません。多感な学生時代を思い出すと、正直言って、歌詞が心に響いたからそのアーティストを聴くという行為もほぼないです。サウンドやメロディー重視で音楽を聴いていました。
―― では、昭仁さんの歌詞の軸はどのように培われてきたものでしょうか。
バンドを始め、自分が歌詞に心情をアウトプットするようになり、歌詞を書くことを意識し、表現するようになってから、歌詞という観点で影響を受けたアーティストは、スガシカオさん、桜井和寿さんだと思います。
―― 普段、曲作りはどのような流れで行うことが多いのでしょうか?
基本的に、ポルノグラフィティはメロディー先行です。歌詞のかけらも曲のかけらも、ただひたすらデスクに向かって頭をひねり上げるのみです。
―― 歌詞を書くとき、どんなところからインスピレーションを得ることが多いですか?
自分の体験したことからインスピレーションを得ることがほとんどです。
―― 晴一さんの書く歌詞について、昭仁さんの歌詞と異なる特徴を挙げるとすると?
晴一は作家として歌詞を書けるところ。僕はボーカリストなので、自分が歌うことを前提とした視点で歌詞を書きます。
―― 歌詞面の「ポルノグラフィティらしさ」とはどんなものだと思いますか?
作曲の面にも言えることですが、歌詞を書く人間がふたりいる、ということが強みでもあると思います。
―― 過去にご自身が書いた曲を今歌ったとき、感じ方・捉え方が異なることはありますか?
自分のなかで、とにかく尖ったもの、聴いたひとが新しいと思ってくれるものを描こうとしていた歌詞があります。“歪んだ愛”というものを表現したくて、そのモチーフとして“ストーカー”を題材にして書きましたが、今となっては、それは狂気でしかないです。「見つめている」という曲です。
―― ポルノグラフィティは、今年9月8日にメジャーデビュー25周年を迎えられました。ここまで長く続いてきたその理由は何だと思いますか?
僕たちに、具体的な到達点や目標がなかったことが功を奏したのではないでしょうか。漠然としていたことで、周りのスタッフやファンの皆さんがその隙間を埋めてくれるようになり、みんなで作り上げた感覚になったことがよかったのでは? なんて今になって思います。