風鈴

鬼子母神堂の陽は陰り 路面電車の灯りが行く
浴衣の帯を直すたび 立ち止まるふたり覚えてる
あの日買った 風鈴は今も
見知らぬ風に 吹かれています
チリリ チリリ チリリと 揺れて

何も無かったあの頃は 今よりもっと笑ってたね
縁日 夏市 星祭り キミの面影 探している
あぁ 夏の名残か 遠花火
短夜の空に 響いてます
キミを失くしたときの ように

悲しいけれど 悲しいけれど
キミは キミは もういない
ふたりきりで歩いた町は
何も変わっていないのに
ただキミだけがいないのです

きっとわたしが悪いのに 全部キミのせいにしてたね
さよならを口にもできず キミに決めさせた弱虫
あの日買った 風鈴のように
季節はずれに 取り残されて
キミを呼んでみるけど もう…

悔しいけれど 悔しいけれど
恋は 恋は 戻らない
キミの心 傷つけたまま
何を選ぼうとしたんだろう
ただこの胸が 痛むのです

やさしいキミが やさしいキミが
ずっと ずっと 悲しくて
ナミダ隠す そんな笑顔も
全部 捨ててしまったけど
今でもキミを…
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