有原雅人のソロプロジェクトCROWNが初めてアコースティックスタイルでのワンマンライブを行なった。2本のアコースティックギターとパーカッションという編成によって奏でられることで丸裸になった歌から痛感したことは、やはりメロディーの良さと言葉の重み、そして有原のヴォーカリストとしての歌声の威力。説得力はもちろん、色気や毒気、甘み、艶などを持っていることを改めて実感した。またこの日は、3年前にdrug store cowboyが活動休止した日ということでバンド時代の曲も披露。2本のアコギでスリリングな緊張感を再現した「フルスピード」や、サンプリングされた音のようにアコギで短いフレーズを繰り返し刻んで横ユレの心地良いグルーヴを作った「強く咲き誇れ」など、アンプラグドならではの音世界を生み出していた。 CROWNの定番曲から、製作中のアルバムからの曲やカバー、個人名義で発表されている曲、そしてバンド時代の曲まで、有原が自分が歌いたい曲をセレクトしたという今夜のライブ。そういう意味では、歌だけでなく、有原自身も表現者として丸裸になったのかもしれない。“信じる道が間違いじゃないと言える日を探す”と歌った「果てなき旅路」で本編を締めくくり、予定外のアンコールでCROWNをスタートさせた時の「はじまりの歌」が演奏されたのは、現在の彼の心境が今またそこにあるということなのだろう。