3月からスタートしたツアーのファイナルとなる日比谷野外音楽堂。大型で強い台風が日本列島に上陸しており、土砂降る雨の中での幕開けとなったが、大胆に打ち込みを導入したオープニング曲「TWISTER」が夏ソングらしい爽やかな空気を客席に送り込んだ。そして、「グラフティー」「STAND BY ME」とGOING ならではの、メロディーが少し切ないポップチューンが立て続けにプレイされる。言うまでもなく、客席は大盛り上がりである。生憎の雨空だが、バンドのテンションはいつものライヴと何ら変わらない。もちろん、観客もレインコートをまとっている以外は、いつもと何ら変わらない。その後も、爽快なシングルナンバーが次々と繰り出され、それを客席は笑顔で受け止めていた。 中盤に入ったところで、新曲「カウボーイによろしく」が披露される。見事なコーラスワークを聴かせるメロディアスな楽曲で、馬が走っているようなパーカッシブな打ち込みとドラマチックなアレンジ、メッセージ性の強い歌詞が印象的だった。そして、シリアスな歌詞を松本素生が切々と歌い上げる「シグナル」から、聴く者をグルーヴと歌声でもって包み込む楽曲が続く。ここで一旦ライヴはクールダウンするものの、雨に打たれながらも一心に聴き入ってしまい、心が共鳴していることに気付いた。 “センチメンタルを乗せて、埼玉県桶川市から日比谷野外音楽堂を経由して、ハート行きの、ハート行きの汽車が出ます”と松本がアナウンスし、プレイされた「センチメント・エキスプレス」から後半戦。ダンサブルな「ステップ」やギターの中澤寛規がヴォーカルをとるアッパーな「ショートバケイション」、ギターリフが切り込んでくるロックな新曲「ホリディ」などが繰り出され、曲が進むごとに客席もヒートアップしていき、ハートフルで感動的なナンバー「トワイライト」「いつまでたっても」で本編が締めくくられ、最後はハートウォームな「ハートビート」で幕が下ろされた。 ツアーファイナル...しかも雨が降る中でのライヴだったが、いつもと変わらないGOING UNDER GROUNDを体感した。唯一のサプライズはアンコールの新曲「愛のうた」で、河野丈洋(Dr)がピアノを奏で、松本とふたりで演奏されたこと。そのシンプルなタイトル通りに、真っすぐな“愛のうた”が歌われ、しっとりとしたメロディーが、より深いやさしさと温くもりを持って届けられる。それも、いかにもGOING らしいところだ。そういう意味でも、彼らのど真ん中にあるものを再確認し、その核となる部分がさらに強固なものになっていることも痛感したライヴだった。雨は最後までやむことはなかったが、終演後、胸の奥に爽快で温かいものを感じていたのも特筆すべきことだろう。