なんだろう、この圧倒感。eastern youthの3人から放たれる轟音、叫ばれる吉野 寿のボイス、激情、焦燥感、孤独感、無常感が込められた日本語で綴られた歌詞。いつもライヴを観終わった後、それらの全てに圧倒され、しばらくその場を離れられないのだ。 まず、彼らのライヴを観たことのない方にお知らせしたい。音を感じてほしい。ギター、ベース、ドラムのバンド構成は現在の音楽シーンにおいては簡素すぎると言ってもいいだろう。だが、そこから放たれる音量、日本情緒あふれた、わびさびを感じる豊かなメロディーは彼らでなければ絶対に表現できない代物なのだ。そして、吉野は歌詞に込めたあらゆる思いを裸の精神の如く歌い叫び、ギターの弦が切れそうな程の激しいストロークを見せる。 MCでは吉野は決して自分たちのライヴで“楽しんでください”とか“踊ってください”と要求しない。それは自分たちは渾身の思いで歌を届けるだけで、そこから先は聴衆に全てを委ねるだけと認識しているからだ。事実、そんなライヴを繰り広げられたオーディエンスは始めは圧倒されたように聴き入っているのだが、徐々に精神が解放したかのように体を揺らし、踊り出し、その光景に吉野は“ありがとう”とだけ告げる。 ライヴが終わった後のメンバー、観客の表情には清々しさだけがあり、それはeastern youthのライヴは常に闇の先の光が存在することを証明している。誰もいなくなった後の無機質なステージと、そこのアンプの上に置かれた一輪の花。それが彼らのライヴの全てを物語っているのではないだろうか。