1曲目からフルスロットル! 助走なしでのいきなり爆走は、気持ちが前のめりになっている分、鬼気迫るものを感じてしまう。おそろいのスーツにおかっぱ頭というトリッキーな出で立ちで、エキサイティングなロケンローをぶちまける3人。そのサウンドはガレージロックやオールドパンクを血肉化し、ブルースとお笑いが文化として根付く関西で鍛え上げられた、強靭かつポップでコミカルなものである。言うまでもなく、ステージ前に詰め寄るロックの亡者たちは満面の笑顔で踊り狂い、その喧騒は曲が進むにつれ、加速度的にすさまじさを増していく。そんな序盤の極めつけは、なんと彼らが主題歌を担当することになったという「ゲゲゲの鬼太郎」。痛快なパンクバージョンで披露されるおなじみのナンバーと、鬼太郎とねずみ男の着ぐるみの登場に、客席は大いに沸いたのだった。中盤はアコースティックタイム。普通ならここでクールダウンするはずなのだが、ダニーのさりげなくも華麗なギターテクやドリーのアップライトベースでのグルーブ、ボギーのブラシを使用したドラミングが、観客を熱くさせていたのも彼らのライヴらしいところ。そうなると終盤はさらなる盛り上がりを見せること請け合いだ。エネルギッシュに燃え盛るオーディエンスたちに、ロック、パンク、ブルース、歌謡曲などがブレンドされた痛快なナンバーが矢継ぎ早に注がれ、場内には尋常ではないほどの熱気が立ち込めていた。予定外のアンコールも行なわれ、メンバーも観客も高揚感に包まれる中、大団円を迎えたライヴ。まさにリミッターを振り切ってこそ到達する至福の“ロックンロール地獄!”が、そこにあったと言えるだろう。