日本を代表するアコーディオニスト、coba。彼の新レーベル“CALMOLA BOSCONE”からリリースされた31枚目のアルバム『僕のエレキュート』を引っ提げての今ツアー、東京は恵比寿ガーデンホールにて行なわれた。 先に言っておくが、著者はcobaのコンサートは初めてだ。今作は“エレガントでキュート=エレキュート”というコンセプトに準え、それぞれの楽曲がいろいろな女性の心やドラマを描いており、そんなひとつひとつのストーリーに自身を重ねたのか女性客が多く見られた。静かに始まりを待つ会場に客電が落ち、cobaが表れるとスポットが当てられ、大きな拍手が起こる。両手を胸の前に広げ、一礼をし、アコーディオンを携えるcoba。そして、演奏が始まるや否や釘付けになってしまった。クラシカルで壮大な「agua monegros」やエレクトロも取り入れたアップテンポの「野球帽」、またcobaと言ったら『おしゃれカンケイ』の「過ぎ去りし永遠の日々」というようにお茶の間まで浸透したポップミュージックと多岐に渡る楽曲の数々。それらが彼のアコーディオンによって自在に奏でられるのだ。体をくねらせ蛇腹を伸縮させながら、音の抑揚を付け、右手で鍵盤、左手はベース、和音を操る。MCでも語っていたが、アコーディオンは楽器の接着面積が多いため、体の一部のような感覚になる。大きく動けば音はたおやかに、激しく動けば軽快に...気付けば表現豊かな楽器とパフォーマンスの一挙手一投足に夢中になり、すでに終盤を迎えていた。「恋のbamboo disco」ではバンドとともにファンキーなサウンドを聴かせ、観客にクラップを促し、会場全体のオーケストラを生み、ラストは観客総立ちでスタンディングオベーション。表現者でもあり、エンターテイナーでもあるcobaの魅力を存分に感じたコンサートだった。