渾身のアルバム『アンダーワールド』を武器に、狭い小屋ばかりを攻めた全国ツアーの最終公演。“今さら、なぜ?”と思うような今回のツアーだが、その理由が分かった。最後にネロ(Dr)も言っていたが、メリーがメリーであるがためのツアーだったのだ。ロックの初期衝動を呼び起こすようなパンキッシュなサウンドを矢継ぎ早に放ち、自身と対峙し、バンドのコアな部分を再確認しているかのようなライヴを繰り広げていた。しかも、客席とのコミュニケーションは全身全霊で感情を込めたサウンドだけで十分とばかりに、1曲目から本編ラストまで一気に駆け抜けていったのである。そして、オーラスの「under-world」を迎える頃には、そんなバンドの意思を受け取った観客と完璧なまでに一体感を築き、最高の景色を創り上げたのだった。真っ向から自分自身やファンにぶつかり合う。そこにメリーの存在理由があるのだ。