TVアニメ『姫様“拷問”の時間です』オープニングテーマ「まっさかさマジック!」が好評のヴォーカリスト・liaによるバンドプロジェクト・shallmが3月10日に東京・恵比寿 LIQUIDROOMでワンマンライヴ『shallm 2nd Live - アイオライト -』を開催。オープニングアクトに大宮陽和、ゲストに紫 今を迎えた同公演は三者三様の音楽性とパフォーマンスでしのぎを削った。
■ 大宮陽和 ■
オープニングアクトとしてシンガーソングライター・大宮陽和がギター1本を携えて登場。弾き語りの一本勝負でアグレッシブにステージを展開した。長崎出身の彼女は、学生時代に悩んだ時は青い海や真っ白の空に救われたと話し、自分がこれからどんな大人になるのだろうかと想像しながら書いたという「真白の空」などを演奏。ネガティブな胸の内を、かき鳴らされるギターに乗せて、エモーショナルに歌い上げる。「リゼントメント」という曲では、やり場のないエネルギー爆発させるように、ステージを転げ回りながらギターをプレイ。まるで冬の海のような激しさで、観客の心に爪痕を残した。
■ 紫 今 ■
続いてゲストとしてTVアニメ『青の祓魔師 島根啓明結社篇』のエンディングテーマ「学級日誌」が話題のクリエーター・紫今が登場した。まずは「酔い夏」の歌声だけが会場に響き、トラックが鳴り響くと同時に幕が開くと、ミステリアスにフードを目深に被った彼女が現れた。続く「エーミール」では“手拍子をお願いします”と投げかけ、会場には4つ打ちのビートに合わせて手拍子が広がった。さらに「Not Queen」では観客を挑発するパフォーマンスを繰り出し、激しさを増す楽曲後半ではパワフルなハイトーンヴォイスで観客を圧倒!
“shallmのliaさんが、以前から私の動画を観てくれていて、私の古参ファンだったことが発覚しました”と、意外な接点とゲスト出演の経緯を明かした紫 今。TVアニメ『青の祓魔師 島根啓明結社篇』エンディングテーマ「学級日誌」を歌った際は、“『青エク』を知らない人は各々の青春を思い出しながら聴いてください”とコメント。しっとりとした歌声とビートで、観客を独自の世界観に引き込んだ。ライヴ終盤にはTikTokで話題を集めた「ゴールデンタイム」、YouTubeで200万回近い再生数を記録している「凡人様」を披露。立ち上がって声援を送る観客と《天才》《凡人様》とコール&レスポンスを繰り広げて会場が一体に。ポップス、ソウル、ジャズ、アコースティック、ロックなど、ひとつのジャンルに縛られない音楽性、ちょっとダークな雰囲気を纏った存在感からにじむカリスマ性。紫 今が放つオルタナティブで鮮烈な世界に、観客は酔いしれた。
■ shallm ■
アツいバンドサウンドの「stardust」で幕を開けたshallmのステージ。この日のライヴのタイトルである“アイオライト”は宝石の名前で、“自分の人生を進むべき方向に導くという意味があって。まさしくそんな影響を受けたのが、今回出ていただいたふたりです。今日のライヴが皆さんにとっても、そういうものであってほしいと思います”と、オープニングアクトとゲストのふたりの起用理由、ライヴのタイトルについてコメントした。
shallmはメジャーデビュー曲でドラマ『女子高生、僧になる。』のオープニング主題歌に起用された「センチメンタル☆ラッキーガール」や前述の「まっさかさマジック!」、「白魔」「境界戦」など人気の配信曲に加え、6カ月連続配信リリースの第1弾としてこのライヴ当日にリリースされた「花便り」、さらに4月10日にリリース予定の第2弾「if 1/2」も披露。You Tubeでもお馴染みのボカロカバーは、バルーンの「メーベル」とハチの「マトリョシカ」などを選曲してファンを喜ばせた。
美しいハイトーンで切ない歌詞を歌い上げた「花便り」は、本公演で披露するために書いた曲とのこと。“今までの自分の道を示してくれた人に宛てて書いた曲です。みなさんにも自分を形作るきっかけをくれた人はいると思います。そうした大切な人のことを思い出しながら聴いてください”と話し、ファルセットになるギリギリの高音域を絶妙なさじ加減で操りながら、その歌声に感謝の気持ちを託す。今にも泣き出しそうな切なさとエモーショナルさに、観客はジッと耳を傾けていたのが印象的だった。また、アッパーのナンバー「if 1/2」では、高低差の激しいメロディーをエレキギターをかき鳴らしながら歌い上げ、ライヴのタイトルである“アイオライト”にちなんだパープルのライティングが楽曲の世界観を彩っていた。
アンコールでは“ここ(恵比寿LIQUIDROOM)には、憧れのアーティストを観るために、お客さんとして何度も来ていて、まさかここに立てる日がくるなんてすごく嬉しい”と、感無量といった様子で語ったlia。“デビューしてからの2年は、楽しいけど苦しい2年で。でも、やっとこんなにもたくさんの人に来てもらえるようになってすごく嬉しい。これからも自分を信じてやっていけそうな気がします”と話しながら、あふれる涙を抑えきれない。アンコールの最後には、夢に向かって突き進む気持ちを歌った疾走感あふれるストレートなロックチューン「夢幻ホログラム」を泣きながら熱唱。クラップが会場に広がり、サビでは手をあげてステージに声援を送った観客に、“こんなに大勢の前で泣く恥ずかしいやつですけど、これからもついてきてください!”と語り、最後はバンドメンバーと息を合わせて、ジャーン!と音をひとつにライヴを締め括った。
『JAPAN JAM 2024』(5月3日)、『OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2024』(5月12日)への出演も決まり、ますます注目度が高まっているshallm。涙は成長したいと望む気持ちの表れであり、これからも目を真っ赤に腫らした夜を数えるたび、一歩ずつ成長していくことだろう。
撮影:星野耕作/取材:榑林史章
shallm
シャルム:自ら作詞作曲を手がけるヴォーカル・lia(読み:リア)によるバンドプロジェクト。2023年3月に初のオリジナル曲「夢幻ホログラム」を配信リリース。9月にMBSドラマ『女子高生、僧になる。』のオープニング主題歌「センチメンタル☆ラッキーガール」をメジャーデビューシングルとして発表。liaならではの独特の感性で紡ぐ言葉とメロディー、洗練されたバンドサウンドで聴く人々を魅了する。