2017年より活動をスタートさせたメタル系シンガーソングライターのKeisandeathが、7月4日に四谷LOTUSにてワンマンライヴ『STAY HOME OVER?』を開催。本公演はソーシャルディスタンスを取りながらの有観客&配信にて実施された。
この日は1曲目から楽団家来(バンドメンバー)の重厚なサウンドが轟く「I Believe」を投下! 昨年10月に行なわれたワンマンライヴ『Keisandeath Do Nothing?again at 10.11』に続いて今回もふたりのダンサーをステージに迎え、フロントマンのKei(Vo)も振り付けを取り入れながら華やかに幕を開けた。次に披露されたのは「Do Nothing?」。同曲はフィンランドのApple Musicメタル部門 で1位を獲得し、YouTubeで公開したMVには海外からもコメントが投稿されるなど、国外でも地道にファンを獲得しているKeisandeathの代表曲のひとつだ。全曲の作詞作曲を担うKeiが、“見下してきた人さよなら!”と自分自身を奮い立たせるロックナンバーなだけに、《見えない未来を楽しませて》《選んだ道ならもう迷わない》という力強い歌詞が会場に響く。本公演が“世界中にファンがいる今、止まるわけにはいかない”という気合いと、少しでも多くの人にKeisandeathを知ってもらいたいという願いのもとに実現したライヴであることが伝わってくる。そして、声出しNG・ソーシャルディスタンスを保ちながらのライヴ鑑賞であっても、観客それぞれがサビのユーロビートっぽいノリに身体を揺らして楽しんでいたのも印象深かった。
また、“和”を感じる楽曲が多いのもKeisandeathが海外のファンを惹きつける理由のひとつで、ライヴの序盤から特に人気のある和風曲「Ayame」「四隅咲き乱れた華」「武家Metal」を立て続けに披露。怒号のようなリズムと、テクニカルなギターがフロアーを駆け回るように鳴り響き、Keiの儚なげな歌声と迫力あるデスヴォイスもバンドサウンドに負けず劣らず観る者を魅了する。そんな中、MCでは“病は気から”ということで、Keiが“気”を良くするためのストレッチを伝授し、それを試すために楽団家来と観客が全員で手をブラブラとさせるというシュールな光景も。とはいえ、曲の間でどれだけ雰囲気を和ませても次の瞬間にはしっかりと切り替え、少し粗削りな歌声が切なさを増す「To Be Or Not To Be」を届ける。スロウなバラードかと思えば急に荒々しく転調する「罪の意識は重ねてゆくほどに壊されていく」で観客の心を躍らせ、ノスタルジックなギターフレーズが心地良い「ハヤザキザクラ」をやさしく歌い上げた。
そして、後半は「NyanMetal」「NikuKyu」など、Keisandeathのライヴに欠かせないキャッチーなナンバーに、Keiがダンスも交えながら追い上げる! 昨年10月にリリースされたベスト盤2種のうち『空-Kuu-』に収録された新曲で、ひと際明るく弾けるナンバー「Stay Home」も披露し、フロアーのテンションはさらに上昇。《幸せクラスター》という単語も飛び出す遊び心あふれる歌詞が特徴だが、どんな状況でも楽しく過ごしたいというKeiなりの希望が込められた一曲だ。最後はベスト盤『色-Shiki-』収録の「Shiki」で、ムーディーなサウンドとメタルを行き来する、スリリングな曲展開に翻弄されるがままライヴは締め括られた。
タイトルにある“STAY HOME OVER?(ステイホーム、終わった?)”の問いかけは、7月12日から東京都に4度目の緊急事態宣言が発令されたことで“No”となってしまったが、Keiを筆頭に楽団家来とダンサーも加わった7人で、Keisandeathは引き続き世界に向けて新たな道を切り開いていく。“メタル系シンガーソングライター”を基盤にしながら叫び、歌い、時には踊り、観客を和ませ、ライヴパフォーマンスもジャンルレスになっていく彼女に要注目だ。
取材:千々和香苗
Keisandeath
ケイサンデス:秋田県出身のメタル系シンガーソングライター。3歳の時からピアノを始め、11歳からX JAPANのhideに憧れてギターを始める。13歳でバンドを始めたことがきっかけで作曲をしてみたところ、意外とできてしまったのでそれから作曲も開始。2017年に1stアルバム『THE FIRST』でインディーズデビュー。