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ZOC ライヴレポート

【ZOC ライヴレポート】 『NEVER TRUST ZOC FINAL』 2021年2月8日 at 日本武道館

2021年02月08日
@日本武道館

ZOCが2月8日、東京・日本武道館でワンマンライヴ『NEVER TRUST ZOC FINAL』を開催した。2018年の結成以来、個性豊か過ぎるメンバーたちによってアイドルの可能性を拡張して来た彼女たちにとって武道館は、結成当初から目指す場所として掲げてきた会場。1月20日にシングル「AGE OF ZOC / DON'T TRUST TEENAGER」でメジャーデビューを果たし、ついに武道館へ辿り着いた。また、この日をもって初期メンバーのひとりの香椎かてぃが卒業する。まさにZOCの大きなターニングポイントとなる武道館には、大勢のファンが駆けつけ興奮高まる中ライヴは行なわれた。

会場の中央に設置されたZOCのマークをあしらったセンターステージに、大森靖子、藍染カレン、香椎かてぃ、西井万理那、巫まろ、雅雀り子のメンバー6人が登場すると、「ZOC 実験室」からライヴはスタート。眩いライティングとメタリックなギターリフが鳴り響き、メンバーは渾身の歌とダンスで観客を圧倒していく。続けてメジャーデビューシングルから「AGE OF ZOC」をドロップ。6人はステージの外周を回りながら360度全方向の観客に向かってパフォーマンスし、ファンは熱いメンバーの煽りに手を上げて呼応する。そして、フラストレーションを明るく吹き飛ばすような「GIRL'S GIRL」、パワフルな「断捨離彼氏」を立て続けに披露し、武道館のテンションはすでにアツアツ状態に。

自己紹介を挟んで「IDOL SONG」。曲中には落ちサビを賭けて大森と西井がじゃんけんで対戦し、西井が勝利を収めるが、落ちサビを香椎に譲るという場面も見られた。「イミテーションガール」ではミラーボールとカラフルなライティングの可愛い空間が広がり、「ヒアルロンリーガール」でポップに弾け、「チュープリ」でキャッチーな世界を展開。最後は全員で大きなハートを作って、観客に愛情をたっぷり伝えた。

ソロコーナーに入ると個性全開のZOCだけに、6人バラバラのステージが展開されていく。大森の歌う「絶対彼女」では巫と雅雀がダンスでサポート。西井は荷台に乗って「それな!人生 PARTY」を楽しさいっぱいで歌唱し、藍染は孤高のシンガーのようにステージを歌い踊りながら「紅のクオリア」を歌い届ける。巫は白い花柄のワンピースを着てアイドル然とした姿で「まろまろ浄土」をイキイキと歌い。香椎は「仮定少女」で気持ちを吐き出すように激しく歌い切った。雅雀は「死神」でsugarbeansの弾くキーボード、大森の歌に乗せて、ステージを大きく使ったコンテンポラリーダンスで魅せ、ステージに残った大森はギターを手にして「パーティードレス」「ハンドメイドホーム」を歌っていく。大森の情念の詰まった歌が武道館全体に響き渡り、全観客のマインドを完全に掴み取る。その説得力は凄まじいものがあった。

ライヴ後半戦に入ると、香椎以外の5人で新曲「FLY IN A DEEP RIVER」で披露。再び6人になって「ピンクメトセラ」「draw(A)drow」を、漲るパワーでパフォーマンスし会場をヒートアップさせていった。MCを挟み、「SHINEMAGIC」では銃を使ったステージを展開し、清々しくポップな「A INNOCENCE」と続く。そして、ZOCの代名詞的な「family name」が歌われた。すでに涙声のメンバーは渾身の《クッソ生きてやる!》のフレーズを連呼し、ライヴ本編は終了となった。

アンコールに入ると、「DON’T TRUST TEENAGER」が披露される。6人はペアのダンスを織り交ぜ、“永遠に少女”のフレーズを突き抜けるようなメロディーに乗せて武道館に響かせた。そして、卒業する香椎が思いを込めた手紙を読んでいく。涙声の彼女は、“私にとってZOCは青春でした。メンバーと、毎日いろんなことで悩んでケンカして笑って炎上して慰め合って、ちゃんと好きと言い合えたあの頃は、何度振り返っても大好きな毎日でした。新体制になるたびに、大丈夫、まだ行ける、何度も自分に言い聞かせたのですが、どんどん変わっていく環境についていけなくなりました。ですが、結成当初から言い続けてきた武道館という夢を叶えられたことの達成感は、今まで自分たちがやってきたことがやっと形となったものです。ここまでみなさんと同じ夢が見れてほんとに楽しかったです。ほんとにありがとうございました!”と別れの言葉を語ると、観客から大きな拍手が送られた。花道を歩く香椎を見守るように、5人のメンバーは新曲「REPEAT THE END」を涙を堪えて歌い切った。

最後のMCで大森は“私は、出会いだけが人生で、次にやるべきことを与えてくれるなと思っています。ここにいるメンバーみんなには、もっともっと出会うべき人、影響を与えるべき人がたくさんいると思ってます。全ての人に、出会ってくれてありがとうって思いますし、これからもZOCにたくさんの出会いを与えてくださるのが、みなさんかもしれないっていうのも思ってます。だから“愛されていい人間だぜ”って自信が持てるような音楽を私はこれからも作って、このメンバーで表現していきたいです。武道館は日本の音楽の中心だと思える場所なので、このZOCのマークがどんどん広がっていくような活動をできれば、すごく面白い世界になると思ってます。これからも応援よろしくお願いします!”とZOCのこれからの思いを口にすると、会場は大きな拍手が鳴り響いた。

オーラスはメンバーがステージ中央に集まり、アカペラで「family name」。全員で全身全霊の《クッソ生きてやる!》をシャウトし、“We are ZOC!”のかけ声で武道館公演はフィニッシュとなった。ZOCの生き様、個々の開放、生きることへの希望、明日への渇望を全て剥き出しにした、荒々しく繊細で美しいZOCらしい武道館公演だったと言える。

撮影:Masayo、Yusuke Satou、Michiko Kiseki/取材:土屋恵介

ZOC

ゾック:シンガーソングライターで“超歌手”の大森靖子がプロデュース兼メンバーとして活躍するアイドルグループ。2018年よりインディーズにて活動をスタートさせ、20年までに3枚のシングルをリリースした。同年7月に活動休止を発表、8月には活動再開を宣言し、10月に開催した中野サンプラザでのワンマンライヴでメジャーデビューを発表。21年1月に1stシングル「AGE OF ZOC / DON'T TRUST TEENAGER」をリリースし、同月に東名阪のZepp公演、2月にはツアーファイナルとしてグループ初となる日本武道館公演を予定している。

SET LIST

試聴はライブ音源ではありません。

  1. 5

    5. IDOL SONG

  2. 6

    6. イミテーションガール

  3. 9

    9. 絶対彼女/大森靖子

  4. 10

    10. それな!人生PARTY/西井万理那

  5. 11

    11. 紅のクオリア/藍染カレン

  6. 12

    12. まろまろ浄土/巫まろ

  7. 13

    13. 仮定少女/香椎かてぃ

  8. 14

    14. 死神/雅雀り子 feat. Sugarbeans

  9. 15

    15. パーティードレス/大森靖子(弾き語り)

  10. 16

    16. ハンドメイドホーム/大森靖子(弾き語り)

  11. 17

    17. FLY IN A DEEP RIVER

  12. 18

    18. ピンクメトセラ

  13. 19

    19. draw(A)drow

  14. 23

    <ENCORE>

  15. 26

    25. family name(アカペラ)