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LIVE REPORT

ウォルピスカーター ライヴレポート

【ウォルピスカーター ライヴレポート】 『2019年度 ウォルピス社 “大”株主総会 追加公演』 2020年1月26日 at 豊洲PIT

2020年01月26日
@豊洲PIT

“高音出したい系男子”を標榜し、ハイトーンを重視した広いオクターブと透明感あふれる歌声を持ち味に、2012年より歌唱動画等の投稿を中心に活動を始めた男性歌い手・ウォルピスカーター(以下 : 社長)。作品の発表やリリース毎に再生数や実績、ライヴ動員数を上昇させてきた。そんな彼が昨秋2年振りのワンマンを豊洲PITにて敢行。その大成功を受けて、1月26日(日)に同会場にて追加公演が行なわれた。

前回同様にゲストたちと繰広げながらも、新規ゲストに中川翔子を迎えるなど、曲順や展開、アレンジや演出等で以前とはまた違った魅力も満載だったこの日。同時に改めて彼の歌声の無二さと、化学反応や融合により新たなる魅力が多々開花していくのを目のあたりにした。

凝ったことに、まずは本編に入る前のOP映像として「斜めがけ前線」のCMバージョンがステージ後方の巨大スクリーンに映し出される。続けて「パッヘルベルのカノン」の調べに乗せ、“ウォルピスカーターの生涯”と題された、これまでの事業実績の報告が後にゲスト登場する、けーぽんによる語りと文字にて投影。その最後には、作品とライヴでのキーのギャップに苦悩した結果、この日の彼が冒頭曲で原曲より何度キーを下げるか...と会場に回答が委ねられる。

そんな中、ヘヴィなサウンドながら疾走感あふれるオリジナル曲「STILL GREEN」(オリジナル)とともに、株主総会らしく正装した社長が登場。雄々しさを伴いライヴがスタート! 結果はキーはマイナス3。とはいえ、2本のギターを中心にドラム、ベース、キーボード、マニュピレートといった6人編成のバンドをバックに早くも彼のハイトーンで伸びやかな歌声が全開していく。そして、さらに速度を増すように「Los! Los! Los!」(悠木碧)を披露すると、その高音に激しさとトリッキーさが加わり、それに観客も呼応。そこにエネルギーの交歓を見た。

“25歳でこの2曲の連投は正直厳しい(笑)”と社長。その息切れぶりは真剣に全霊を懸けて届けたことを裏付ける。“ここからはみんなが望んでそうな楽しい曲を”との言葉から、若干の軽快性を含んだドラマチックな展開も特徴的な「廃景に鉄塔、「千鶴」は田園にて待つ。」(トーマ)、はたまたバーレスクな「潜水艦トロイメライ」(トーマ)ではロートーンが魅力的に響いた。

ここからはゲストヴォーカリストたちが呼び込まれる。但し、あえて事前にそれを告知して臨んだのも今公演の特徴。加え、前回の各人飛び飛びの登場ではなく、同ブロックにて現れるかたちで贈られた。まずはもはやウォルピスカーターのライヴでは銅像としても人気の歌い手仲間のけーぽんが登場(今回も中盤以降は金色の銅像としてステージ上にずっと建立)。以後、ツインヴォーカルがゆえの社長の思い思いのハイトーンが楽しめた。「命のユースティティア」(Neru)ではストリングスと駆け抜ける16分に乗せられたハイトーンのチェイスが見られ、社長の歌声もより引き上がっていく。対して、ダンサブルな「傀儡マイム」(オリジナル)では幅広いキー使いも手伝い変幻自在さも楽しめた。

続いて登場したのは社長の作品ジャケットや楽曲ミックスでも活躍しているSILVANA。「アイスリープウェル」(まふまふ)では、SILVANAが持つ艶やかさによりツインヴォーカル時の社長の歌声にも艶やかさが加味。しっとりさも特徴的な「蜃気楼に求め」(オリジナル)では同曲が擁する切なさと哀愁に浸らせてくれた。

また、3人目のゲストであるはるまきごはんの登場時には、作品より躍動感が増したコラボ曲「1%」(オリジナル)がMV映像とともに披露され、はるまきごはんの包み込むようなウィスパーとのベストマッチが味わえ、「再会」(はるまきごはん)では主メロをはるまきごはんが歌い、社長がハイトーン部分をファルセット気味(この日最大の高トーン!)に歌う。そして、昨秋配信開始の「雨子」(オリジナル)では、ゆったりとした三拍子の中、社長のハイトーンとはるまきごはんのウィスパー的なアンニュイな歌声のリレーとユニゾンがいい具合のコントラストを見せた。

幕間でのバンドメンバーと後ほどゲスト登場の中川翔子を交えてのコントを経て、次のブロックでは3rdアルバム『これからもウォルピス社の提供でお送りします。』にも収録されていたカバー曲たちがしっとりと歌われる。鍵盤を基調にしっとりとかつ伸びやかさを広げていった「未来予想図II」(Dreams Come True)、「M」(Princess Princess)では伸びやかにその社長の歌声がまるで夜空に吸い込まれていくかのごとくの光景が浮かんだ。

そして、後半には再度、中川翔子が登場。作曲&プロデュースを担当した中川への提供曲「ある日どこかで」がその疾走感に満ちたサウンドと秘めたエモさに乗せ中川が歌い、そこに社長がコーラスを乗せる。さらに中川の人気曲「空色デイズ」がツインヴォーカル性を伴い再び一緒にライヴを加速させていった。

ラストスパートはアッパーな曲たちが会場を惹き込み駆け抜けていった。「ドラマツルギー」(Eve)ではそのファンキーさも合わさって会場をバウンスさせ、最後は「斜めがけ前線」(オリジナル)がCMのフルバージョンとともに駆け抜けるように贈られた。同曲では途中から銅像から蘇ったけーぽんもヴォーカル参加し、ツインボーカルの体にて美しく駆け抜けていった。

アンコールでは「無花果」(オリジナル)と「泥中に咲く」(オリジナル)を各々アコースティックアレンジにて歌唱。「無花果」では歌とアコギ、鍵盤を交えて作品とは違った雰囲気にてしっとりとより感情移入たっぷりに伝えれば、「泥中に咲く」ではバンドの全メンバーも再登場。鍵盤を基調にバンドがジョインし、昇華していくそんなストーリーが待っていた。ラストのみんなと育んでいったハミングが光量の上がっていく背後の白色ライトとベストマッチ。神々しくも場内にしっかりと明日への活力を与えてくれた。

3月25日にはニューアルバム『40果実の木』の発売と、東阪にて初のワンマンツアーを行うことも発表されたこの日。その各告知の際には驚喜の大歓声も起こり、今後の社長への多大なる期待を感じた。ハイトーンという繊細かつデリケートな武器を用い、無限の可能性とさらなる高音、どんな環境でも自身の思い描く理想の声が出せる体勢に向け、本公演の大成功と引き換えに社長のハードルはまた上がった。しかし、彼なら今後もそれらを軽く飛び超えてくれるに違いない。なぜなら彼の目指すところはいつまでも“高音出したい系男子”なのだから。これからもウォルピスカーターの飽くなき進化と躍進は続く。

撮影:YUTA ITO/取材:池田スカオ和宏

ウォルピスカーター

SET LIST

試聴はライブ音源ではありません。

  1. 1

    1. STILL GREEN

  2. 2

    2. Los! Los! Los!

  3. 4

    4. 潜水艦トロイメライ

  4. 5

    5. 命のユースティティア(GUEST:けーぽん)

  5. 6

    6. 傀儡マイム(GUEST:けーぽん)

  6. 7

    7. アイスリープウェル(GUEST:SILVANA)

  7. 8

    8. 蜃気楼に求め(GUEST:SILVANA)

  8. 9

    9. 1%(GUEST:はるまきごはん)

  9. 10

    10. 再会(GUEST:はるまきごはん)

  10. 11

    11. 雨子(GUEST:はるまきごはん)

  11. 14

    14. ある日どこかで(GUEST:中川翔子)

  12. 15

    15. 空色デイズ(GUEST:中川翔子)

  13. 16

    16. ドラマツルギー

  14. 18

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