ツアー『OBLIVION DUST Tour 2018 Adrenaline –Come Get Your Fix』の11本目。8月4日にOBLIVION DUSTのライヴが恵比寿LIQUIDROOM で開催された。OKMusic内でのメンバーによる連載にも記されているように今回は毎回セットリストをガラリと変えているので、会場ごとにメニューが異なる激アツなツアーとなっている。“アツい”と言えば今年の夏は最高気温30°Cが涼しいと勘違いするほどの酷暑ということもあって、絶対に聴きたい!と思っていた曲があった。それは太陽を焼き尽くす勢いのヤバいナンバー「Death Surf」。そして、ライヴはこの曲から始まった。もちろん爆音でーー。
フロアーは瞬く間にクラウドサーフ。オブリの激しさとキャッチーなメロディーが高い次元で融合する「Lolita」ではRIKIJIがベースをマシンガンのように構えるパフォーマンスに歓声があがった。“このツアーは“Adrenaline”というタイトルですけど、またの名を“夏のクソ暑い中、クソ熱く暴れまわってカロリーを1個か2個消費する”っていう。まだポテトチップ1枚分ぐらいしか消費していないので、ここから頑張ってください”とKEN LLOYD(Vo)が笑わせ、何も触れずに本ツアーから初披露されている新曲「Satellite」へと突入。インダストリアルなビートから熱を帯びていく展開が、新しい彼らを感じさせてくれるナンバーだ。新旧織り混ぜた攻めのセットリストが興奮を加速させる。が、ひと筋縄ではいかないのがこのバンド。“まだホットドッグ半分ぐらいしかカロリー消費してない”とKENが煽ったかと思いきや、“熱くなったところですっげぇ暗いバラードやります”と翳りのあるメロディーが美しい「With You」を艶やかな声で歌い、さらにスケール感たっぷりの「All I Need」へ。K.A.Zのギターソロは夏の海に反射する光のようだ。
中盤にクールダウンする曲をはさみ、KENがシャウトし、RIKIJIが強力なベースでフロアーを揺らす「Selfish」からの後半戦では、まさにアドレナリン噴出のナンバーを連投。凶暴であると同時に知的でクールでもあるのがOBLIVION DUSTの魅力だ。全身の毛穴が開いていくような開放感を覚えつつ「Sink The God」で暴れ倒し、カオス状態となってライヴは終了。そのポテンシャルの高さで目撃者のリミッターを外したすごいアクトだった。
撮影:緒車寿一/取材:山本弘子
OBLIVION DUST
オブリヴィオン・ダスト:1997年にシングル「SUCKER」でデビュー。オールドロックからグランジ、先鋭的インダストリアルまで、ありとあらゆるテイストを貪欲に吸収し噛み砕き、そして濃厚かつストレートに再構築。ゆえに、1度聴いただけで心奪われるほどの即効性を持っている。01年に解散するが、07年に復活ライヴを敢行。11年に約3年振りとなるワンマンライヴを行ない、本格的に活動を再開した。